日本から漆喰が消えたのはなぜか?

漆喰土壁京壁リフォーム

ギリシャ文明、ローマ文明、インカ文明を
支えてきた漆喰。

マチュピチュ

スペインやオーストリアなど
ヨーロッパの歴史ある都市にはの
漆喰がふんだんに使われ街全体が美しく、
伝統を感じさせます。

ヨーロッパでいう建築業は
日本のように新しい家を建てるというよりも
古い家を補修するお仕事との認識があるようです。

彼らは、
先祖から受け継いできたお家をとても大事にしています。

日本でも姫路城などのお城や伝統建築には
漆喰が使われています。
漆喰を使った建物は、白が映えてとても美しいです。

姫路城

そんな漆喰がなぜ現代の日本から
姿を消してしまったのでしょうか?

石油を使った新建材の登場

戦前の日本の家は、木や土壁、漆喰で作られていました。
当時の木には収縮性があったので
大工さんの長年の経験があってこそ家を建てられました。

それが戦後になると
これまでになかった新建材である
石油を使った化学建材や
コンクリートが登場することになります。

アメリカは自国の利益になるように
日本人に米ではなくパンを食べさせ、
家は木ではなく石油で建てさせました。

石油を使う化学建材は自然の木のように収縮したりしません。
そのためこれまでの自然建材よりも
『早く、安く、大量に』
家を建てることができるようになります。

左官職人が腕を振るって塗る漆喰は手間もかかりますし、
塩化ビニールクロスを壁に貼るよりも
当然時間がかかるのです。

このような経緯で
漆喰を壁に塗る家がどんどん減っていってしまいました。

湿式工法と乾式工法

左官は基本的に水を使います。
漆喰を壁に塗る前に下地を塗るのですが
この下地が乾くまで
夏であれば1日、冬であれば2日程度かかります。

漆喰土壁京壁リフォーム

これは湿式工法と呼ばれます。
戦後の日本では乾式工法が主流になったため
左官仕事が一気に衰退していくことになるのです。

乾式工法では
下地材にはべニヤ合板や石膏ボードが使われ、
その上にはビニールクロスが貼られます。

湿式工法とは異なり
熟練の職人の手がなくても
とても簡単に素早く仕上げられるようになったのです。

左官業というのは伝統技術を取得するために
何年もの修行をします。

しかし戦後の日本には
修行をしても力を発揮できる現場がなくなっていきました。

左官は割に合わない・・・
漆喰壁も、左官職人さんの減少とともに少なくなっていくことに。

いま昔ながらの自然住宅を一から建てようと考えて
土壁、塗り壁を選ぶとなると
坪100万円以上かかるといわれています。
熟練の職人が減っているのがその理由だそうです。

シックハウス症候群

そんな流れが、1995年の“シックハウス症候群”問題から
変わりつつあります。

漆喰は塩化ビニールクロスや接着剤から揮発する
ホルムアルデヒドなどのVOC(揮発性有機化合物)
を吸着し分解する能力を持っているからです。

子供により良い環境で育ってもらいたい・・・
両親に快適なお部屋を提供したい・・・
自身の老後のことを考えて自然に近い住宅で暮らしたい・・・

こう考える方が増えてきたんです。
漆喰が復活した瞬間です!

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

ページ上部へ戻る